この点、本件についてみると…。

答案における接続詞の使い方について少し話題になっているようなので、自分なりの考えを簡単にまとめておきます。まず、最初に断っておくと、答案の書き方のスタイルや戦略、考え方は人それぞれなので、あくまでも私見です。

この点について、まず、私は、以下の接続詞等は答案で使わないように意識しています。論文を書き始めて1年目くらいのときは予備校の答案例を真似して書いていましたが、意味がないと思って書くのをやめました。

・この点、この点について(私は書いたことないですが、思うに…なども書きません)

・本件では、本件についてみると

・まず、次に…

・~かが問題となる(これは今でもたまに書きます)

・そもそも

(↑他にも思いついたら追加します)

書かなくなった理由は以下の通りです。

◎書いても点数が来るわけではない
答案以外の文章であれば読みやすさの観点から接続詞等があったほうがよいかもしれません。しかし、これらがある場合とない場合とで裁量点含め点数に差を設ける合理的理由がないと考え、省略することにしています。

◎書かなくても伝わる
ナンバリングを書かないスタイルであれば接続詞等があったほうが良さそうな気がします。しかし、ナンバリングをしている場合で、かつそれが適切になされている限りは、接続詞等がなくてもナンバリングや記述内容から意味が伝わるはずです。規範部分とあてはめ部分も問題文固有の事実との切り分けが適切になされていれば「本件では」「本件についてみると」と書かなくてもあてはめ部分がはじまったことはわかります。予備校の答案例をみると未だに「本件についてみると」などとかかれています。これは規範定立の論証とあてはめをはっきりわけるという意味はあるかと思いますが、そもそも予備校の答案例は時間無制限で書かれているものであって、時間制限のある本番の試験でわざわざ書く必要はないと思います。
さらに、書く必要がないばかりか、「本件についてみると」と書くだけでは1点も入らないのに、これを1つの答案で3回書くとなると30字(1行)近い無駄な記述をすることになりますが、1行もあれば短い理由づけや事実に対する評価などを書くこともできます。「本件についてみると」を仮に毎回書くとして、1科目あたり1~2点の加点要素が書けなくなるとすると、それだけで8科目ある司法試験では8点~16点のロスになりえます。得点分布上、数点の間に何人もの受験生がいることを考えれば、無駄な記述を減らす必要性があることが分かりやすいかと思います(もっとも、「本件についてみると」を書くのをやめると逆に筆がすすまないとか、これをやめても加点事由を書けない場合は効果がないですが…。)。

★この点、この点について
この点については、いろいろな論争があるようですが、そもそも不要だと思います。
(問題提起)⇒(理由)→規範→あてはめの順番で書いていれば普通にわかると思いますし、ナンバリングがある以上、なくても不自然だとは思いません。

★本件では、本件についてみると
本稿では、上の例で「本件についてみると」と挙げましたが、そもそも「本件では」もあまり使いません(たまになんとなく使ってしまうときがありますが…。)

★まず、次に…。
まず、「まず」や「次に」という接続詞等はなくても伝わります。
次に、これらを書こうとすると(私の場合は)思考が無駄に妨げられると感じます。初学者のときは真似していましたが、たとえば1個目の理由(あるいは趣旨)→2個目の理由…みたいな感じで淡々と記述していけば必要十分だと思います。
もっとも、2個目以降の理由は「また」「そして」「さらに」を使っています。また、順接の論理の流れを表現するときは「そのため」「それゆえ」「したがって」を使い、規範をあげるときは「そこで~と考える」などを使うことが多いです。まとめるときは「したがって」「よって」「以上より」を使ってます。

★そもそも~
論文書きはじめのころは、予備校の答案例を真似して「この点」「この点について」と書いていましたが、ある時期から、たとえば条文の趣旨を理由づけとして使うときに、「そもそも○○条の趣旨は~」などと書くようになりました。
しかし、そもそも答案を書く目的は制限時間内に可能な限り多く得点し、そして、合格することです。
そうすると、「そもそも」と書いても書かなくても得点に差は(おそらく)ない以上、書く必要がないと考えました。
そのため、今は「そもそも」は使っていません。

★~かが問題となる。
「~かが問題となる」が必要なのかが問題となります。この点については、「が問題となる」の部分は正直無駄だと思います。私は問題提起不要派ではないので、必要なときには問題提起の形を使いますが、基本的には「~か」を使います。もっとも、問題の所在を示すときに「~か。~か。」となるのは気持ちが悪いので、そのときだけ「~かが問題となる」を使うときがあります。

★確かに~しかし…。
確かに、これは便利です。しかし、私は最近はあまり使っていません。もっとも、「しかし」の代わりに「もっとも」のほうはよく使います。「しかし」のほうは何となく強すぎる気がしていて、「もっとも」のほうが使いやすい気がします。これは単に個人的な趣味ですが…。

とはいっても、実は、未だに、筆が滑ってこれらの接続詞を書いてしまうときがあるんですけどね…。意味がないとわかっていても。ただ、慣れると結構やりやすいです。少なくとも、上記の接続詞等を書かなくても答練や模試で指摘されたことはないですし、予備試験論文も問題なかったので、自分はこのスタイルを貫いていこうと思っています。

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