論証の書き方【規範編】

論証の書き方のうち、規範について簡単にまとめました。

そのうち具体的な論証を元にして改めて記事を書きたいと思っています。また、このほかにも思いついたものがあれば追加します。

※①問題の所在→②理由付け→③規範→④あてはめ

 

【論証の書き方:③規範】

・論証の中でもっとも重要なものが規範(判断基準)である。

判断の基準となる物差しがなければ安定した事案解決ができないため、法律の事案問題を解くにあたっては規範を立ててからその規範に事案をあてはめることが極めて重要である(いわゆる法的三段論法)

 

(ちなみに、問題の所在で示した法律効果が発生するのはどのような場合かを示すという意味で規範(判断基準)を示すことが多いが、問題の所在で示した論点に対して肯定か否定で応答するという形になることもあり、これが③の部分に入ってくることもある。)

 

・①問題の所在や②理由づけが仮になかったとしても、③規範と④あてはめだけで三段論法が成立する。したがって、事前にできる典型論点の学習においては③規範を覚えることが最重要であるし、現場思考論点が出た場合もその場で規範を立てることが重要となる。

→まず論証を覚える、論点、判例を勉強する時には規範を優先して覚えましょう

・典型論点の場合はキーワード(判例や学説のフレーズで核となるもの)を中心に覚える。数が多いので一言一句再現する必要性はないが、重要なものはある程度ポイントを抑えて再現できないと③規範→④あてはめの流れができないため、やはり覚えるべきものは覚えておくべき。

→何が重要なのか、キーワードがどこかという点は予備校や合格者による指導によって効率的に判別することができます

・実は典型論点を題材に規範を覚えることで現場思考論点の規範の立て方も分かってくる。その意味でも典型論点をしっかりと学習することは重要である。

→現場思考問題が解けない原因として類似の典型論点の学習が不十分であることが考えられます

 

・最初のうちはある程度規範を覚えてから、問題演習を通じてあてはめの仕方を学ぶのが良い。規範は抽象的なものも多いため覚えるのは大変だが、具体的な事例に当てはめたり、判例学習等をすることで理解が深まり記憶もしやすくなる。抽象と具体の往復を繰り返すことが重要。

 

・規範の立て方、覚え方のコツは、いくつかの汎用的なパターンを意識することである。

①原則例外パターン(例:(理由)→原則として〇〇と考える。(もっとも、理由)→例外的に〇〇の場合は〇〇と考える。)

②比較衡量パターン(例:〇〇の判断にあたっては、〇〇と〇〇の利益を比較して考える)

③要件パターン(例:要件①、要件②を満たす場合は、効果①が発生すると考える)

→ここら辺は具体例で説明した方が良さそうなところですが今回は割愛します

 

・規範は法律要件を具体化したものだと考えると良い(明文がない場合は法律要件そのものと考えられる)。①と②を満たせばある法律効果が発生するというものだと考える。

 

・一方で考慮要素というものがある。特定の法律効果が発生するために必要な要件としての規範なのか、そのような規範にあたるかを判断する参考としての考慮要素なのかは常に区別する必要がある。

→考慮要素に過ぎないのに規範のように考えてしまう(処分性の考慮要素など)といった間違いがよくあります。

 

・考慮要素については規範そのものよりも重要度が下がる。もちろん、理解して覚えていた方があてはめはしやすいが抽象度の高いものが多いので記憶の負担が大きい。

確かに論証のなかで、規範に続けて考慮要素を書くこともできるし、余裕があれば考慮要素を書いてあてはめをした方が印象は良いが、単純に書く時間がかかる上に、あてはめで使わない考慮要素を書いても意味はない。

一方で、考慮要素(例えば判例や学説が指摘しているもの)を理解していることは、あてはめの中で考慮要素を意識して論じれば採点者に伝わると考えられる。

また、考慮要素を固く覚えておかなくとも問題文から逆算することもできる(このようにすれば不要な考慮要素を無駄に書いてしまうということもない。どうやって逆算するかは問題演習を繰り返すことで習得できる)。

もちろん、普段の勉強では意識的に記憶までする必要はないにせよ、考慮要素があるものについてはこれを見ておくことで試験では気付きやすくなる。

 

・なお、②理由づけ→③規範の論証部分において、具体的事案の固有名詞(本件〇〇、X、Yなど)を出してはいけない。抽象的な法的議論をもとにして規範を立てる際に具体的な個別事情を混在させてしまうと安定的な事案解決ができない。本件〇〇(具体)のような▲▲(抽象)という形で入れられなくはないが、できるだけ避けた方が良い。

→これも初学者にありがちなミスになります。固有名詞は基本的にあてはめの部分にしか出てこないというつもりで書いた方が良いと思います(問題の所在を示す際に事実を引用することもあると思いますが、あてはめ以外であればその時くらいかと思います)

 

・②理由づけと③規範の区別ができていない答案も稀にあるので注意が必要。

 

次回はあてはめ編となります

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