★答案の書き方:あてはめ編
基本形は「事実」→「評価」→「規範」
・「事実」については問題文から引用する。ただ、いつでもそのまま長く引用すると得点効率が下がって全体の点が伸びなくなる原因になるので、どれくらいの長さで事実を引用すべきかはさまざまな答案を見て勉強する。ある程度事実を要約することもあるが、「評価」そのものになってしまうと良くない。「事実」と「評価」をきちんと区別しておくことも重要である。
事案や論点によっては必要な「事実」を適切に示すことができるだけで点数がつく可能性もある。もちろん、ただの問題文の書き写しとなっていては意味がないので、常に法的議論と結びつける必要がある(つまり、規範に関連づける必要がある)
・「評価」について。
ある意味「事実」が「規範」にあたるかの理由づけともいえる。ここでは論証部分の理由づけと区別して、あてはめ部分で「事実」と「規範」をつなげるものを「評価」と呼ぶ。
誰が見ても明らかである場合は例外的に不要である。
その場合は「事実」→「規範」という流れになる。
もっとも、「規範」は抽象的なものも多いので「評価」を挟んだ方が良い場合が多い。
「評価」については(問題演習で定型的なものは自然と覚えたりするものの)自分でその場で考える必要があるので慣れないと難しい。しかし、説得的なあてはめとなるには「評価」が重要であり、配点も振られていることが多いと考えられる。多くの受験生は事実に対して評価をつけて規範に繋げることを意識していると考えられるため、いつでも事実と規範だけであてはめを書いて済ませようとすると点数が伸びないと思われる。
一方で、あまりに長々と独自の視点から評価する答案もある。1つの事項に対する配点には限度があるので、1つの事項にこだわって長々と書くこと自体、全体として見れば点数が下がるリスクがある。また、オリジナリティを出そうと意識しすぎる必要はなく、その事実から普通に言えそうなことを書けば十分である。そして、評価は法的な意味での規範とつながるようなものである必要がある。
・「規範」(あてはめ部分)について
論証部分で立てた「規範」が再登場する。「規範」にあてはめるからこそ「あてはめ」というのである。なぜか「規範」とあてはめで出てくる「規範」が違うという答案もあるが、これは三段論法ができていないとみなされうるので注意した方が良い。論証部分(抽象)で立てた「規範」とあてはめ部分(具体)であてはめる「規範」が一致してはじめてあてはめたことになる(=得点につながる)という意識を持った方が良い。
同じ日本語を2回も書くというのは時間がかかって面倒であるが、予備試験・司法試験はこの法的三段論法ができているかを見る試験なので、ここは疎かにできない。
もちろん、試験時間の制限がある以上いついかなる時も三段論法をしていては間に合わないという場合もある。その場合は部分的に三段論法を省略することがありうる。もっとも、その箇所の減点を覚悟して別のところで得点し、全体としての得点を上げる手段にすぎない。
メイン論点で三段論法をしない場合、点数が大幅に下がる可能性もあるので、三段論法の省略はあくまで緊急時のオプションと考えるべきであり、多用しない方が良い。
書いている内容は良いのに三段論法になっていないために点数が取れていないと思われる答案もある。