【勉強法】司法試験とマーカーの使い方

目次

司法試験対策でのマーカーの使い方

今回は私が実践していたマーカーの使い方について書いてみようと思います。

そもそもマーカーを引く必要はない!という人も多いかと思いますが、私はマーカーを色ごとに分けて引く派です。勉強法は人それぞれ好みや向き・不向きがあるので、あくまで一つの例ということになるかと思います。特に司法試験の特性と関連した部分については、上級者の方々にとっては物足りない内容かもしれませんが、例えば勉強を始めて1年以内くらいの方にはヒントになるかもしれません。

メリット

私が考えるマーカーのメリットは以下の通りです。

①復習するときに見やすいので効率的

→以前にどこを重要と考えて、どのような意味でマーカーを引いたという情報が残ります。そのため、2回目以降はメリハリをつけて読み直すことができ、記憶想起もしやすいです(個人的な感覚ですが)。主に答案例にマーカーを引いていましたが、色を分けてマーカーを引くと構造が捉えやすく、復習がしやすいです。特に短文事例演習の段階で効果的ではないかと思います。

②手を動かすので飽きない

→私の場合、読むだけではなかなか集中できないので、手を動かすことで集中状態に入るようにしていました。勉強に作業的要素が入ると勉強しているつもりになりがちなので、その点が批判されているのをよく目にしますが、あえて作業を取り入れてやることを明確にすることで勉強が捗るという人も一定数いるのではないかと思います。勉強した気になりがちというのは後述のデメリットの一つですが、私は意味を理解してから引くように意識し、自己満足に陥らないように気をつけていました。

③(特に司法試験の場合)自分が書いた答案を見直す時に役立つ

答案例や基本書等のテキストにマーカーを引くのも有効だと思いますが、自己添削にも役立ちます。色で分けるという作業をすることで、自分の答案の癖に気づきやすくなります。(例えば、理由づけと規範の部分(論証部分)が長いのに事実や評価の部分が短い、問題提起や事実の引用が冗長すぎるなど)

‘ また、再現答案や模範答案もマーカーで塗り分けて勉強していると、自分の答案との比較が直感的にやりやすくなります。

デメリット

①時間がかかる

慣れればそこまで問題になりませんが、物理的な意味で時間がかかります。

②(特に色分けする場合)面倒くさい

③勉強した気になりがち

‘勉強の結果が残るのはメリットでもあり、一方で勉強した気になって覚えたり理解することを怠ってしまうという点でデメリットでもあります。これは意識次第で改善可能ではありますが、やはり自分に甘くなってしまうと効果が薄いどころか逆効果にもなりうるので、よくない勉強法として紹介されることもあるのは確かです。

④マーカーの消費が激しいのでお金がかかる

もちろんデジタルで勉強する場合はタダですが、実際にマーカーを使うとなるとかなりの消費量になります。

 具体的な色の分け方

実際にどの色を使うかは好みによると思いますが、私は以下のように分けていました。

持ち替えるのが面倒くさいとか、マーカーに強調するという程度の意味しか求めていない場合は1~2色程度でも良いかもしれませんが、私は複数の色を使っていました。

(ちなみに、自分はフリクションライトのソフトカラーを使っています。以下に出てくる黄色というのはソフトオレンジで、オレンジはソフトカラーではないほうのオレンジを使っています)


問題の所在(問題提起)、反対説(反対説の理由づけ)、(あてはめレベルで反対の考え方の理由づけ)

これらについてはピンクのマーカーをひいていました。

なぜそのような論点が問題となるのかを説明する問題の所在や問題提起の部分です。その他にも、反対説(論証部分)やあてはめにおける反対の考え方の部分にはピンクを使っていました。

論文試験で解答するには、最終的な結論に至 ‘る過程を論証(+あてはめ)していく必要がありますが、それに対して、その過程で検討すべき自説と反対の立場の考え方(確かに~、しかし…の「確かに~」の部分)や、単純に条文では解決できないために出てくる論点の問題の所在部分をピンクで塗っていました。

あとは厳密にはこれらに当てはまらないものの、単純に文章を流していくための問題提起部分にもピンクを使うことが多かったです。


規範・判断基準(要件)、考慮要素、結論、(効果)

これらは黄色(実際にはソフトオレンジ)で塗っていました。

司法試験で覚える重要性が最も高いものになるのでマーカーの使用頻度が多いです。

法律の論文試験の答案では三段論法をとる必要があるので、論証部分で少なくとも1回、そしてそれに対応する部分があてはめに現れるのが基本です。

重要性が特に高いのが規範・判断基準・判断枠組みなどと呼ばれるものであり、重要な判例や学説による規範は覚える必要性も高いです。規範部分はマーカーだけでなく、赤ボールペンを使って重要箇所に下線を引いたり、キーワードを枠で囲ったりして、さらに強調するということをしていました。また、特に覚えた方が良いと思ったものは隣に⭐︎マークを書いていました。こうすることで、試験直前期は⭐︎マークだけを短時間で確認することで重要な規範については忘れずに書けるように準備できました。

次は考慮要素で、これも同じ色で塗っていました。もっとも、考慮要素は複数あることが多く、要件としての規範とは異なり、かっちりと覚えていなくとも問題文から逆算したりできるので、一応引いておく程度でした。試験本番の論証部分では、最低でも規範が書けていればよく、考慮要素は書かないでも当てはめ部分で理解を示せば十分だと考えていたので、それほど重要視していませんでした。意味合いとしては重なるので同じ色でぬってはいましたが、法律効果を導くために必要な要件としての規範なのか、それともその規範に当てはまるかを判断するための考慮要素に過ぎないのかは注意していました。

最後に、結論部分も黄色で塗っていましたが、論文の答案例や自己添削においては結論部分であることは明らかなのであえて塗る必要もないとは思っていました。ただ、テキストの勉強をするときに判例の結論部分を目立たせるために黄色で塗っていました。

規範を黄色で塗っておけば、自己添削の時に、三段論法ができているかをすぐに確認できます。

論証部分で規範を塗っておき、当てはめ部分でそれに対応する箇所が塗れなければ三段論法ができていないことになります。


理由づけ(趣旨)、評価.

論証部分の規範に対する理由づけ(あるいは条文の趣旨など)と事実に対する評価はオレンジで塗っていました。この2つは別の色にしても良かったのかもしれませんが、流石に面倒なので同じ色を使っていました。

一般論を述べる論証部分においては、どうしてその規範を取るのかという意味で理由づけをすることは望ましいといえます。他の規範もありうるのに、なぜその規範を使うのかの説明がなければ、説得力が下がるのは確かでしょう。(もっとも、論点によっては理由づけが重要なものもありますが、そうでもないものもあります。限られた紙面で理由づけを完璧に書くというのは元から不可能なので、理由づけを全く書かないのももったいないですが、書きすぎてもあまりメリットがないことも多いでしょう。)

そのため、規範の前には大抵理由づけを書くことになり、多くの論証はピンク(問題の所在、問題提起)→オレンジ(理由づけ、趣旨)→黄色(規範)というふうになるはずです(反対説に言及する場合はピンクの部分の比率が大きくなります)。

ちなみに、条文の趣旨は理由づけとしての役割を果たすと考えていたので、私は趣旨もオレンジで塗っていました。答案例に書かれた条文の趣旨に塗るのもいいですが、テキストに書かれた条文の趣旨部分にもオレンジで塗っておくと見やすくて便利です。条文の趣旨は特に現場思考型の問題で役立つことも多く、条文と結びつけて覚えることができるので、理由づけの中でも重要なものとしておさえていました。趣旨が出てきた時は、オレンジで塗った上で隣に(条文数)p(正確にはpを○で囲んだもの)と書いて趣旨であることが分かる記号を使っていました(そして特に覚えるべきものは⭐︎マークもつけていました)。

一方で、事実に対する評価もオレンジで塗っていました。

こちらは一般論としての論証レベルではなく、具体的な当てはめレベルにはなりますが、事実がなぜその規範に当てはまるのかということを評価を入れて示し、事実と規範を繋いでいくというイメージがありましたので、ある意味事実レベルでの理由づけのようなものと考え、これも上と同じくオレンジで塗っていました。時間がない時や評価するまでもなく規範にあたりそうな時は評価を簡略化あるいは省略することもあり得るでしょうが、基本的には書いた方が加点できるので必要だと思います。

後述するように事実は緑で塗っていましたので、まとめると

(論証部分)

ピンク【問題の所在、問題提起、反対説】(※絶対に必要なわけではないと考えていたので、省略している時もありました。また、実際の試験では時間がタイトなため、反対説を書くこともあまりなかったです。)

オレンジ【理由づけ、趣旨】

黄色【規範(判断基準、判断枠組み)、余裕があれば考慮要素】

(あてはめ部分)

【事実(問題文から引用してくる部分)】

オレンジ【評価】

黄色【規範(判断基準、判断枠組み)】

↓※もちろん、複数の事実が出てきてそれをそれぞれ評価したり、複数の規範に当てはめることもあります

結論

という流れが基本です。


事実

事例問題はあくまで与えられた事実をもとに解答をするものなので、解答の特に当てはめ部分では事実を書く必要があります。これについては緑で塗っていました。

この色が出てくるのは基本的にあてはめ部分です。もっとも問題の所在を示す際に事実を使うということもあり得ます(実際は面倒なのでピンクでまとめて塗ってしまうことも多かったですが)。しかし、一般論である論証部分で具体的な事実は出てこないので、この部分に緑色は入ってくるはずがありません。

したがって、問題の所在のところで事実を使うとしても、緑→(ピンク→オレンジ→黄色)→(緑→オレンジ→黄色)という流れになります。すなわち、1個目の()部分=論証部分に事実=緑色は入ってこないことになります。


要件(条文の文言)

以上の他に、条文に現れている要件については紫で塗っていました。これは要件としての規範を黄色で塗っているので紛らわしくなっているのですが、ざっくりと条文を見て分かる要件(特に条文の文言部分)は紫で、条文を解釈して出てきた判例や学説に基づく規範は黄色で塗っていました。もっとも、いずれも一定の法律効果を導くために必要な要件という点では同じなのであえて分ける必要もないかもしれません(実際は面倒なので厳密に分けないこともありました)。ただ、条文の文言は重視した方が良いと考えて、あえて別の色を塗るようにしています。また、「条文の文言」=(解釈)というパターンも多いので、この場合にあえて色を変えた方が自分的にはしっくりきたというのもあります。


 タイトル部分など

他にもタイトル部分は水色で塗っていました。ただ、これには単に見やすいという以外の理由はなかったですが…。もっとも、(答案というより普段の勉強で)タイトル部分をあえて塗ることで、今自分が何を勉強しているのかを意識することができる、気持ちを切り替えることができるということはあったかもしれません。

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